ジェイソン 「評価 D」
夏休みを利用して湖畔のキャンプ場へとやってきた、ジュリーら若者たち。このキャンプ場ではチェーンソーを携えホッケーマスクを被った殺人鬼トレバー・モアハウスが夜な夜な人を切り刻むという噂が流れていたが、無論若者たちは誰一人として信じてはおらず、それどころか噂話を利用して他人を脅かすなどの悪ふざけをするほどだった。しかし初日の夜に指導員のジェイソンが行方不明になったのを皮切りに、楽しかったキャンプ場は惨劇の場へと変貌を遂げた。ホッケーマスクを被った人間によって、キャンプ場の人間が次々と殺害されていく。事件を知り駆けつけてきた保安官は最初に姿を消したジェイソンへ疑いの目を向けたが、一方のジュリーはキャンプ場の過去を調べていくうちに、思わぬ真相に辿り着いた…。
ホッケーマスクの殺人鬼に湖畔のキャンプ場、そして過去にまつわる因縁と、「13日の金曜日」の骨子とも言える部分を拝借して作られたホラー映画。ビデオの宣伝コピーには「『13日の金曜日』と『悪魔のいけにえ』の融合!」なんてことが書いてあるが、「悪魔のいけにえ」からの影響が感じられるのは殺人鬼がチェーンソーを使用する点ぐらいのもの。そもそもジェイソンだって「13日の金曜日3D」でチェーンソーを使ってるんだから「融合」というのには違和感があってしょうがないが、まあこれは配給会社に言う話なので置いておく。
本作はジャンル的には一応ホラーであるものの、元ネタの「13日の金曜日」とは全く毛色の違う作品だ。殺害シーンは殆ど画面上で描写されることがなく、たまに明確に映されるのもボウガンの矢で射抜かれるといった薄味なもの。スプラッターという言葉とはまるで無縁であり、代わりに真犯人を探し当てる推理モノとしての雰囲気が強く押し出されていた。怪しい老人の話からキャンプ場の過去に興味を抱いたジュリーが(これも「13金」風だ)、父親とのメールのやりとりや指導員の記録から犯人の隠された動機を見出していく。盛り上がるべきシーンでの演出が平坦すぎたのは考えものだったが、犯人が二転三転する脚本がなかなか面白く、「13日の金曜日」とは別の映画だというのを心に留めていれば少しは楽しめる作品である。
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