魔法の剣               「評価 B」
舞台は遥か昔のイギリス。魔女シビルに育てられた若者ジョージはある日、いつものように魔法の池を通して近くの城の様子を見ていたところ、美しき王女ヘレンが悪の魔法使いローダックに攫われるのを目撃した。ローダックは北の古城に竜を飼っており、週に一度方々から娘を攫ってきては竜の餌にしていたのだ。それを知って大変悲しんだ王は、ヘレンを助けた勇敢な者には褒美としてヘレンと結婚させると宣言した。そこで王女の救出に向かうことを決意したジョージは、シビルから貰った魔法の剣を携え、石像として封印されていた六人の騎士と共に古城への旅に出発した。ところが狡猾なローダックは古城までの道すがらに七つの呪いを仕掛けており、仲間の騎士たちは一人また一人と命を落としていったのである…。
聖ジョージの黄金伝説をモチーフに、「巨人獣 プルトニウム人間の逆襲」のバート・I・ゴードンが製作したヒロイック・ファンタジー映画。実物を合成して巨大に見せるゴードン式特撮は本作でも健在であり、枯れ木の森でジョージたちを襲う巨人や、古城に幽閉されている3インチほどの小人たちにそれが生かされている。ただクライマックスの双頭竜だけは実際の生物で表現するのを断念したらしく、首と尻尾が動く巨大なハリボテが使われていたのは、残念と言うべきか幸いと言うべきか、何とも複雑な思いがした。
ストーリーは基本的に「新しい呪いが登場→仲間の騎士が噛ませ犬として殺される→ジョージが呪いを突破する」の繰り返しではあるが、80分という短い上映時間のおかげでさほど単調さが感じられなかったのが良かった。ただ欲を言えば、もう少し六人の騎士たちにキャラクターとしての掘り下げが欲しかったところ。どんな呪いかを観客に知らせるために殺されるようにしか見えず、ある意味神話っぽいとも言えるが、観ていて非常にいたたまれなくなってきたぞ(ラストで救いがあったのはせめてもの幸いか)。
またこの映画、シビルの家に居候しているシャム双生児やローダックの城に住む部下たちなど、登場人物のフリークス率がさり気なく高いのも隠れた見所。特殊効果はチープだしローダックの最期にはガクッとさせられるが、優良な娯楽映画と呼ぶべき作品であった。

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