ジョーズ'98 激流篇 「評価 C」
平凡で退屈な田舎町で、凄惨な事件が発生した。愛犬と川釣りに出かけた男が、胴体を真っ二つにされて川岸で発見されたのである。町の保安官はこの事件を野生のクーガーかコヨーテによるものと推測したが、海洋生物学者のミラーは川を遡行してきたサメが犯人ではないかと考えた。彼の予感は見事的中し、その後も川に入った若者たちがホオジロザメに襲われる事件が続発したため、川は警察によって封鎖されることになった。だがサメがいるとは知らず、警察の目の届かない場所から川に侵入し、浮き輪で遊ぶ若者たちがいた。呑気に遊ぶ彼らに、サメはゆっくりと接近してくる。しかもその若者たちの中には、ミラーの息子デビッドもいたのである…。
1916年に実際に起こった鮫騒動を基にして製作されたTVムービー。サメの描写については低予算だというのを勘定に入れても拙いの一言で、人間がサメに襲われるシーンの脱力さ加減は思わず目を疑ってしまうほど。何せ「水槽の中でサメが泳いでいるカット」と「人間が溺れているカット」とを交互に映すことで、「人がサメに食われている」ことを表現しているのである。人が襲われた後も川の水が赤く染まっていたりはせず、綺麗な水に衣服などが浮かんでいるだけ。川を汚していないのである意味エコロジカルな映画とも言えるが、サメの大暴れやゴア描写はまるで望めないので用心を。
ただ「田舎町の騒動」という側面で見れば、本作はこじんまりと纏まっていた。ミラーが水を恐れる理由や親子の対立などの伏線消化は不十分ではあるが、一方でサメの第一発見者である酔っ払い爺さんは良いキャラをしているし、総じて見れば可もなく不可もなくといった印象。本作は所詮TVムービーなので、ド派手な描写に期待するよりもこういった面の方を注目した方がいいのかもしれない。
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