最後のジョーズ アメリカ東海岸を最大の恐怖が襲う(別題:ジョーズ・リターンズ)「評価 D」
市の200周年記念行事、ウインド・サーフィン大会の開催日が迫りつつあった。大会に出場する若者たちは各自練習に余念が無かったものの、そんな中で地元の優勝候補であるマイク・バターソンが練習中に忽然と姿を消すという事件が発生した。沿岸警備隊が捜索に向かったところ、海上で真っ二つになったサーフボートが発見される。作家のピーターがボートを調べたところ、どうやらボートはサメの歯で切断されたらしく、凶悪なホオジロザメが近海へ来ていることが明らかになった。そこで更なる被害を懸念したピーターは大会の中止を要請するが、主催者のウェルズは後々州知事選に出馬する予定だったことから、何としてでも大会は開催すると主張して聞かなかった。そしていよいよ、ウインド・サーフィン大会の日が訪れた。サメが来ないことを切望するピーターだったが、その祈りも空しく、大会の真っ最中にサメが出現。サーファーたちを恐怖に陥れた…。
「ジョーズ2」の公開後、「これが鮫映画の決定版だ!」と言わんばかりにイタリア映画界が世に送り出したマカロニ・ジョーズ映画。だがその実体は、「主人公の反対も押し切って祭りを断行した結果、祭り当日に怪物がやってくる」という何十回使い回されてきたか分からない伝統的プロットをなんの奇も衒わずに使用している凡作もいいところの内容だった。
また本作、演出の方も凡庸そのもの。例えばウインド・サーフィン大会の場面では乱入したホオジロザメが次々とボートを沈めていくが、どういうわけかちっともサーファーを襲おうとしない。サメは救命ボートに集まっていくサーファーたちを黙って見送るだけであり、「テンタクルズ」のボート大会シーンに負けじ劣らじの気の抜けた雰囲気が漂っていた。クライマックスにおけるピーターとサメの対決シーンも同じような感じで、平凡かつ危険度の低い退治方法を実行するピーターの様子をスローモーションで見せられても興奮できるはずがないというものだ。
そんな中で唯一鮫映画らしいスペクタクル感を味わえたのは、ヘリコプターにぶら下がってたオヤジの足を噛み千切り、あまつさえ低空飛行していたヘリコプターにヘッドバッドを食らわせて撃墜させる一連の場面だ。しかしこの「サメがヘリを墜落させる」というアイデアはまんま「ジョーズ2」からの引用であり、「ジョーズ2」を観た後だと迫力云々以前に物悲しい気持ちに襲われること必至。いかにもマカロニ映画らしい、いかがわしさに溢れた作品だ。
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