サイボーグ刑事 「評価 D」
1991年、全米の犯罪発生率は急上昇し、とても既存の警察機構では対処しきれなくなっていた。そこで政府は犯罪の取締りを、民間企業C.O.P.S.社に依頼。C.O.P.S.社は指名手配された犯罪者たちに賞金をかけることで、犯罪の抑制に取り組んだ。ところが悪党のアダムスが会社を乗っ取ったことから、会社は反対勢力の処刑を始めとして権力の濫用を行うようになったのである。ニュースキャスターのシムズは彼の悪事を報道しようとしたものの、逆にアダムスによって犯罪者扱いされ、10万ドルの賞金をかけられて賞金稼ぎたちに追い回される始末。果たしてアダムスを止められる者はいないのか。とそんな中で、賞金稼ぎのジョン・タッカーがシムズの身柄を拘束する。初めは彼女を会社に引き渡そうとしたタッカーだが、アダムスの用心棒たちが襲い掛かってきたことから事態の不穏さに気づき、彼女と協力関係を結ぶことを決めた。その後も無数の用心棒や同僚たちが執拗に付け狙ってくるが、誰がやってこようとタッカーに隙は無い。何故なら彼こそは、右腕にバイオニック・ガンを装着した凄腕の賞金稼ぎ「サイボーグ刑事」なのだから…。
「燃えよカンフー」のデビッド・キャラダイン主演によるSFバイオレンス映画。タッカーの装着するバイオニック・ガンは「ロボ・コップ」の右腕を切り取ってきたようないかにもなデザインで、ひとたび装着すれば自動車並みのパワーを発揮する上にレーザーまで発射できるようになる。おまけにこのバイオニック・ガンはリモコンでの操縦が可能で、離れたところから呼び寄せられる他、空中を舞わせてロケットパンチのように使用することもできるという優れものだ。しかしあまりにも便利すぎる故に、タッカーは滅多にバイオニック・ガンを装着せず、できる限りは自らの筋肉と拳銃を頼りに戦っている。「常に装着していてはタッカーの身にピンチが訪れない」ということなんだろうが、おかげで作品全体が緊張感の薄いものになっていた感は否めなかった。せめてバイオニック・ガンをいつも付けてはいけない説明描写ぐらいは欲しかったものである。また敵の用心棒がタッカーの相棒ビリーの居場所をどうやって突き止めたのか分からないのを始め、脚本の至る所で詰の甘さが目立つ。深いことを考えずにバイオニック・ガンのトンデモ能力を楽しもうにも、そのバイオニック・ガン自体の出番も少ない。何ともどうしようもない映画だった。
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