壊滅暴風圏 カテゴリー6    「評価 B」
北米大陸で続発する異常気象。巨大な竜巻の群れがラスベガスを襲ったのを皮切りに、シカゴでは記録的な酷暑、メキシコ湾ではハリケーン、そしてカナダでは真夏に雪が降っていた──。これだけでも十分に大変な事態であるが、オクラホマの異常気象センターのアンディは、これらは全て前兆でしかないと見なし、いずれシカゴに竜巻とタイフーンが合わさったカテゴリー6の大嵐が発生するだろうと予測した。早速シカゴ全域には緊急の避難体制が敷かれることになったが、困ったことにシカゴは電力会社のシステムの脆弱性を告発しようとした男のサイバーテロによって全域が停電していたのである。政府や電力会社の人間の手によって送電システムの復旧が大至急行われるものの、その間にも巨大な嵐は徐々にシカゴへと迫りつつあった…。
「合衆国壊滅M10.5」同様、テレフィーチャーの限界に挑むような凄まじいクオリティーの映像で大災害を描いたパニック・ムービー。ラスベガスを竜巻が破壊する冒頭や、セントルイスの巨大アーチが倒壊するカット、ショッピングモールの天井が崩れ落ちてくるカットなど、要所要所での映像美には思わず目を見張るものがあった。特にクライマックスでは巨大な竜巻がシカゴの街を破壊する様子が嫌と言うほど拝めるので、パニック映画好きにとっては眼福極まりなかった。
しかし本作、総上映時間3時間弱という尺の長さが災いしてか、大抵の災害描写はニュース番組からの流用で、VFXを駆使した美麗なカットはせいぜい三十分に一度あるか無いかといった程度。おかげで見せ場が分散されてしまった印象は拭えない。そもそも地震と違ってタイフーンや竜巻では地形を変えることができず、せいぜい人工建造物を破壊するのが関の山のため、「合衆国壊滅M10.5」のラストのような大規模災害を拝むことは難しい。そのため「合衆国壊滅M10.5」に比べると、破壊描写から感じられるカタルシスという面では大いに劣っていると言わざるを得なかった。
また人間ドラマについても不満の残る内容で、主人公の不倫話やら失恋の腹いせに銀行を乗っ取る男やらエレベーターに閉じ込められた妊婦やら多彩なイベントを用意したにも関わらず、散りばめた伏線を殆ど回収できずに映画が終わってしまうという体たらく。見せ場における描写の数々は素晴らしいの一言ではあるものの、「俺は凄い破壊描写を見るためなら3時間ぐらいどうってことないぜ!」という程のパニック映画好き(つまり私のような人間)でも無い限り、あまりお勧めはできない作品だった。

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