ディープポセイドン             「評価 D」
3ヶ月前に突如として消息を絶った原子力潜水艦ニューアークが、カリフォルニア沖の深海で見つかった。何でもこの艦には国家機密に関わる重要な物資が積み込まれていたらしく、トムを始めとする海兵隊員たちは物資を回収するため、海底を彷徨うニューアークへの潜入を命じられた。ところが海兵隊員たちがニューアークのハッチを開けた途端、物凄い異臭が立ち込めてきたではないか。見ると内部には乗組員たちの死体の山が積み重なっており、明らかに只事ではない様子。海兵隊員たちは一体何があったのかと戦慄するばかりだったが、すぐに彼らも事情を呑み込んだ。潜水艦の積荷──米軍と企業が極秘に開発していた巨大サソリの大群が、新しい食料を求めて襲い掛かってきたのである…。
「潜水艦映画にハズレなし」とはよく言うが、B級映画の場合それが全く当てにならないので御用心。「ファントムフォース」や本作など、時折とんでもない映画に出くわすことがあるからだ。
さて本作は、きっと「ポセイドン」の劇場公開に併せてこんな邦題にしたのだろう、アルバトロス発の深海SFアクション映画である。「軍隊が潜水艦でサソリとドンパチやる映画」と言えば全てが説明できるほどの単純一直線なストーリーで、変に奇を衒っていないので安心して観ていられるが、さすがに新味がまるで無いのは段々と退屈になってくるという意味で考え物だ。
そしてストーリー同様に敵役となる巨大サソリたちも平凡で、放射能によって巨大化しているのが今時珍しかったりするが、モロにCGCGした外見に加え、特技らしい特技が皆無。本当にただのデカいサソリなものだから、作品としての個性がいまいち打ち出せていないように感じられた。サソリ軍団を束ねる女王サソリのティアマットも、単に一回りデカくて黒いだけで他の巨大サソリとの違いが殆ど見当たらず、作品の目玉となるには迫力不足。ラストのオチがB級魂に溢れていて素晴らしかった点を除けば、潜水艦映画としてもモンスター映画としても感心できない作品である。

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