ブラッド・ハウス 恐怖がつきささる 「評価 C」
両親に先立たれた姉弟・リンとデヴィットは、フロリダで果樹園を営んでいる祖父母のもとに引き取られることとなった。だがすぐに新しい友達もできて生活に順応していったリンと対照的に、デヴィットはどうも落ち着かない日々を過ごしていた。と言うのも着いたその日の晩、デヴィットは祖父母が家に死体を運びこむという何とも不吉な夢を見ていたのである。折りしも町では連続殺人事件が発生しており、祖父母が何か隠しているのではないかとデヴィットの心には不安が募るばかり。そして親戚一同が祖父母の家に集まったある日のこと、とうとうデヴィットは地下室の冷蔵庫に死体がしまわれているのを発見した。やはり殺人事件の犯人は祖父母なのだろうか。それとも──。そんな中、車庫に閉じ込められていた女性を見つけ出したデヴィットとリンは、驚きながらも親切心から彼女を解放してあげた。ところがこの女性、自由になるや否や鬼気迫る形相に変貌し、姉弟を殺さんと襲い掛かってきたのである。果たして彼女の正体は。そして事件の真相は…。
家族の秘密に近づくに連れて心理的に追い込まれていく少年の姿を描いたサイコスリラー映画。明るい笑顔を浮かべていたはずの祖父が急に猟銃を持ち出してデヴィットを追い回したり、謎の女性がズタボロになっても執拗に姉弟を付け狙ったりと、各々の演出はお約束と言ってもいいものばかりだったが、スリラーの基本的なツボはしっかり押さえてあるので手堅く恐怖感を味わうことができた。中でも主人公のデヴィットがクライマックスに向かうに従ってだんだんと「家族」の一員と化していく様子は、子役の演技も相俟ってなかなかの見物だった。ストーリーの方は回収してない伏線が目立つのは如何ともしがたいが、ラストで明かされる家族の真相が何よりも衝撃的。話の辻褄を犠牲にしてまでもラストの衝撃に全てを託そうとする製作者の姿勢は悪くないように感じられた。
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