激突! 美女軍団 アマゾネス・キング 「評価 D」
生命の歴史、それは淘汰する者とされる者とによる争いの繰り返しであった。人類が誕生して間もない頃、地上ではヌリアク首領率いる狂暴なウンガト族が我が物顔で権勢を振るっていた。ウンガトの過酷な支配によって虐げられる人々。だが彼らの間には星々が直線状に並ぶ日に悪を滅ぼす英雄ズーカンが誕生するという予言があり、人々はそれを心の頼りとして耐え凌いでいたのである。そして、予言が成就される日が訪れた。星々が並び、辺境の村で希望の子供が誕生する。ズーカンは一人しか生まれないとしていた予言とは異なり、何故か誕生したのは双子だった。だが何はともあれズーカンが産まれたことを知ったヌリアクは、部下と共に村に襲撃をかけた。双子の両親を始め、村にいた者たちを皆殺しにするウンガト族。しかし両親から双子を託された老婆には、あと一歩のところで逃げられてしまった。その後、双子は女だけの一族クニアット族に拾われ、彼女たちのもとで育てられることとなる。時の経過と共に双子は立派に成長したが、どちらがズーカンなのか決めなければならないということから、二人はクニアット族の立会いの元で戦わなければならなくなった。兄弟の戦いは熾烈を極めたものの、最終的には兄が勝負を制し、真のズーカンであると認められた。兄は早速ウンガト族を滅ぼすために旅立つが、一方でクニアット族の集落に居場所を失った弟は一足先にウンガト族の巣窟へと潜入し、返り討ちに遭っていた。それを知ったズーカンは嘆き悲しみ、弟と母親の仇を討つためにウンガト族の本拠地へと乗り込んだ…。
大宇宙の誕生に始まり、生命の創生、肉食恐竜と剣竜との戦いと、本作はやたらスケールのデカいオープニングによって初っ端から観る者の気持ちを大いに盛り上げてくれる。だがいざ本編に突入してみると、何の凄い力も持っていないのに英雄扱いされている男が母親と弟の復讐を果たすために蛮族と戦うだけという「ミラクルマスター 七つの大冒険」を八十三倍くらい水で希釈したかのような平々凡々たる内容で、高ぶっていた心は一気にゲンナリしてしまうのであった。
アクションシーンはサム・ペキンパーもビックリなくらいにスローモーションが多用され──というより戦闘中はずっとスローモーションといった有様で、迫力云々以前にしつこさばかりが気にかかる。またストーリーも弟が死んでからは迷走の一途で、唐突に新ヒロインが登場して三角関係話が起こったり、主人公がクニアット族と決別したかと思えば何時の間にかちゃっかり協力し合っていたりと、伏線もへったくれもない超絶展開の数々にはただ茫然となるばかり。それでいてエンディングにオープニング同様の壮大な演出を用意していたのは、ある意味非常に御立派であるように感じられた。
TOP PAGEへ