燃える昆虫軍団 「評価 C」
奴らは突発的な地震と共に現れた。小石のような外観をした奴らは、発火能力によって平和な田舎町を恐怖に陥れる。トラックが、家が、人が、次々と奴らの手によって燃やされていく。奴らの存在を知った昆虫学者のジムはその生態を解明しようとするが、愛する妻キャリーまでもが奴らの餌食となって焼死してしまった。それによってジムは一層奴らにのめりこむことに。奴らとはそう、「燃える昆虫軍団」である…。
「ティングラー」や「血だらけの惨劇」など、60年代を中心に数多くのギミック・ホラーを量産したウィリアム・キャッスルの遺作。ジャンル的には一応生物パニック映画なのだが、燃える昆虫の設定に全てを注いだような独特すぎるプロットで、全シーンの半分以上が昆虫の生態解明に費やされていると言っても過言ではなかった。作中至る所で、ジムや同僚たちは昆虫の生態を延々と語り続ける。視覚が退化しているとか、キチン質の尾触覚を擦り合わせて発火させているとか、体内に炭素を栄養源に変える特殊な細菌を飼っているとか、食べた生き物の遺伝子を取り込んで進化するとか、燃える昆虫の全てを語りつくさんと言わんばかりの濃密な説明描写には、ただただ圧倒されるばかり。未知生物の生態に興味のある人ならば多少は楽しめるが、一方で多くの人間が叫び回る阿鼻叫喚が見たい人にとってはダルいことこの上ない作品だ。そういう意味で本作、何処となく理系的な匂いを漂わせている映画と言えよう。
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