SATAN'S BLADE 呪いのつるぎ 「評価 D」
町で銀行強盗をしてきた二人組、ルースとトリッシュ。彼女たちは5万ドルを持って人里離れたロッジへと逃げ込んだものの、大金を独り占めしようとしたルースによってトリッシュは射殺されてしまう。その直後で死体を処分しようとしていたルースもまた、ロッジに忍び込んできた謎の殺人鬼によって短剣で背中を刺され息絶えたのである。そして翌日、カウンセラーのトニーは休暇を楽しもうと、友人のアルたち3人と一緒にそのすぐ近くのロッジへとやってきた。ちょうど同じ時、隣のロッジでは若い女性の団体客が宿泊しており、恋人がいる身でありながら顔をほころばせるトニー。彼は隣のロッジに侵入したりお目当ての女性に釣りを教えてやったりと楽しい休暇を過ごしていたが、それも長くは続かなかった。先日ルースを殺害した謎の男が、未だに付近を彷徨っていたのである。殺人鬼は悪魔から贈られたと言われている邪悪な短剣を振りかざし、両ロッジの人間を皆殺しにするべく動き出した…。
手に取った者を狂気に誘う、呪いの短剣が引き起こす惨劇を描いたホラー映画。映画の冒頭部分、短剣が赤く光る際のチープな特殊効果で早くも嫌な予感を覚えてしまったが、まさしく予感通りの内容だった。ロッジに逃げ込んだルースは目立つ行動をしてはいけないはずなのに、いきなりトリッシュをピストルで殺し、案の定銃声を聞いたロッジの管理人に通報されてしまう。そしてやってきた警察官たちはルースとトリッシュの死体と、「※」という血文字を見つける。これらは間違いなく捜査の手掛かりとなる重要な証拠であり、血文字に触ろうとした新人警官が老警官に注意されるなどの描写が実際に作中でもなされている──にもかかわらず、翌日には壁の血文字はおろか部屋中に散らばった血糊までもが綺麗に消され、同じ部屋番号のロッジが若い女性の団体客に貸し出されている。他にも「短剣に操られていた」だけでは言い逃れのできない真犯人の罪が見事にスルーされているなど、あまりにも滅茶苦茶なストーリー展開は見ていてトリップしてしまうほどだ。また各々の殺害シーンはカメラワークが単調すぎて嫌になるし、短剣の呪いも扱いが軽く、スプラッター映画としてもオカルト映画としても楽しむことはできない。場面場面の妙ちくりんな箇所にいちいち突っ込んでいく程度しか楽しみようの無い作品である。
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