ゾンビ・チャンネル 「評価 B」
中年作家ジョーダンの家に、知らない相手からテレビが送られてきた。普段はテレビなんか見ないジョーダンだったが、たまにはいいかと思って電源を付けてみると、ブラウン管からゾンビ映画が流れ出した。ところが不思議なことに、電源を切っても、プラグを抜いても映画は流れ続ける。そしてジョーダンが眠りについていた時、テレビの中からゾンビの群れが飛び出したのだ。哀れジョーダンは彼らの手によって抹殺され、ゾンビたちは何処かへと姿を消した。その後、空き家となった彼の邸宅にブレア一家が引っ越してきた。末っ子のジェフは屋根裏部屋から埃をかぶったテレビを見つけて早速電源をつけてみるが、突然画面から美女が飛び出してきて仰天する。美女はすぐに画面の中へ姿を消したものの、これがただのテレビではないことを悟ったジェフは、テレビの正体を知る老人ジョシュアの助言に基づいてテレビを地下室に封印した。だが近所の林には、ジョーダンを殺したゾンビの群れが未だに徘徊していたのである。ゾンビたちに隣人のエイプリルがさらわれたことを知ったジェフは、ジョシュアと協力してゾンビ軍団の退治に乗り出すが…。
「飛び出せゾンビ、また来て死人!」というキャッチコピーが素敵な、マルチメディア型ゾンビ映画。ゾンビ映画としてはテレビの中から飛び出すという設定は勿論のこと、ゾンビたちが自分の腐敗した姿にコンプレックスを抱いており、自分の姿を見られたくないから人間を殺していくという点がとにかく斬新だった。テレビの中のゾンビたちは、いつも視聴者達によって醜い姿を晒されている。自分たちは好きでそんな格好をしているわけではないのに、だ。そのため外の世界に出るが早いか、ゾンビたちは人の家に置いてあった花嫁衣裳やロック・ファッションで着飾り、少しでも綺麗に見られようと努力するのである。本作ではそんなオシャレ志向のゾンビたちの様子が実にコミカルに描かれており、また鏡で自身の醜い姿を見せられると途端に弱り出すなど、設定を上手く生かした弱点まで用意されている辺りに製作者の機転を感じずにはいられなかった。一方で残虐描写も数こそ少ないが、チェーンソーでゾンビの胴体を真っ二つにすると切り口から大量の内臓と一緒に生きたネズミが飛び出してくるという、なかなかに気色悪い見せ場があって楽しませてくれる。最後の退治方法にオシャレゾンビの設定が生かされていなかったのは惜しまれたが、コミカルなゾンビ映画としては快作と呼べる出来だった。
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