シベリア女収容所 悪魔のリンチ集団 「評価 C」
スターリン政権下のソビエト。反政府思想の持ち主たちが毎日のように収容所へ連れて行かれ、残忍なイルサ所長の手によって次々と粛清されていった。ところが時が経ち、スターリンの政権が終わりを告げると、囚人たちからの復讐を恐れたイルサは国外へと脱出。やがてカナダに居場所を見出し、娼館を経営しながら諜報活動に精を出すイルサだったが、ある日彼女は娼館を訪れた元囚人の男に姿を見られてしまう…。
「ナチ女収容所 悪魔の生体実験」「アラブ女地獄 悪魔のハーレム」に続く、イルサ三部作の堂々たる完結編──のはずなのだが、前二作が若い女性をいたぶるシーンがメインのハード・ポルノだったのに対し、こちらはエログロな場面の扱いも軽く、どちらかと言うと東西冷戦を題材にしたB級アクション。映画全体の雰囲気が今までとはがらりと変わっており、本当に同じ製作者による作品なのかと疑いたくなる内容だった。
それでは具体的にどんな点が変わったのかと言うと、最も顕著なのは女性への責め苦が殆ど無い点だ。カナダの娼館で女性を催眠マシーンにかけて調教する場面が申し分程度にある位で、その他のシーンで拷問を受けるのは男・男・男のオンパレード(そもそも邦題が「女収容所」になっているのに、劇中のシベリア収容所にいるのが男ばかりって…)。おまけに今作では監督がアウトドア志向にでも目覚めたのか、今まで狭苦しい空間でネチネチと行われてきた拷問や処刑が、広大なシベリア雪原のど真ん中で堂々となされるようになり、陰湿さ・凄惨さ共に大幅なランクダウンを遂げていた。アクション映画として見た場合、ラストの夕日のシーンなど要所要所で演出が利いていてさほど悪いようには感じられないものの、前二作のような女体拷問を期待してはいけない作品である。
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