ジョーズ3−D                  「評価 D」
フロリダの新たな観光名所となるであろう、シーワールド「海の世界」もオープン間近。このレジャー施設の完成に大金を投じたカルビン社長は、施設内の充実したアトラクションと豪華なショーに絶対の自信を持っており、後は多くの観客に楽しんでもらうだけだとホクホク顔。ところがそんな中、当のシーワールドでは妙な事件が頻発していた。従業員の一人が突如失踪したり、イルカたちが急に落ち着かなくなったり──。それもそのはず、シーワールド近辺の海には体長3メートルのホオジロザメが潜んでいたのである。それを知った飼育係のキャサリンは、ホオジロザメの飼育は世界でも例がないことから、これはシーワールドの目玉になるだろうと従業員たちと共にホオジロザメの生け捕りを決行。捕らえられたホオジロザメは水槽に入れられ、キャサリンの手厚い保護を受けることとなった。そしてオープン当日。シーワールドには多くの客が押し寄せ、思い思いに楽しい時を過ごしていた。そんな中で社長は新しい目玉をいち早く観客に見せたいという気持ちから、キャサリンの許可を得ないで展示用の水槽に鮫を移し、ホオジロザメの一般公開を行った。ところがデリケートな鮫は水槽の中ですぐに体調を崩し、死亡してしまう。それを知ったキャサリンはひどく悲しんだが、これはまだシーワールド内のトラブルの始まりに過ぎなかった。その直後、海底トンネルを歩いていた来客者が、行方不明になっていた従業員の水死体を発見する。遺体は引き上げられて検査が行われた結果、どうやら全長10メートルもある巨大なサメに襲われたらしい。実はキャサリンたちが捕らえたのは子供の鮫で、まだシーワールド周辺の海には母親の鮫がうろついていたのだ。息子を見失った母親鮫は怒り狂い、シーワールド中をパニックに陥れる…。
「ジョーズ」シリーズの三作目は、立体メガネをかけて観賞する3D映画である。オープニングのタイトルロゴを始め、従業員の千切れた腕や海中の潜水艦など、作品の見せ場となる箇所には立体映像に見えるような処理が施されていた。しかし、それが作品にとって決してプラスに働いていないのがこの映画の駄目なところだ。例えば海の中を潜水艦が進む場面では、幻想的な音楽でムードを盛り上げているのは良いとして、立体処理が行われている潜水艦を常に前方に出さなければならないために画面全体がどうしても固定されてしまい、動きのある映像が撮れなくなっていた。また3Dの鮫が施設のガラスを突き破ってくる場面も「鮫の前には何も写せない」点が災いして、割れる瞬間になるまでガラスが何処にあるのか分からず、緊迫感の盛り上げに失敗していた。そしてクライマックスにおける有名な「アゴ大接近」も失笑確実の気の抜ける出来映えで、無理に3Dにしなかった方が良かったのではと終始思えてならなかった。
ただストーリーの方も子供鮫の保護なんて要素を入れたせいか焦点がぼやけた印象で、3Dシーンの出来云々を抜きにしても鮫映画としての出来は凡作止まりなのが本作の悲しいところ。あまりにも滅茶苦茶すぎて未だに誰も真似していない鮫の退治方法ぐらいしか見所の無い作品である。

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