SFアイランドシティ               「評価 C」
遠い未来。科学の発展は、人類に永遠の若さを与える「不老薬」の開発まで可能にさせた。たちまち世界中の人々が若さを求めてこの薬を買い求めて自らの体に投与したものの、実は不老薬には重大な欠陥があった。抵抗力を持たない人間に投与すると全身の遺伝子構造が大きく変質し、高い腕力と凶暴な本能、そして醜い姿を兼ね備えた獣人レックスに変貌してしまうのである。そのため世界中の殆ど全ての人類がレックスへと変わり、元の姿を保っていたごく少数の人間たちは一箇所に集まり細々とした生活を強いられることとなった。しかし共存という概念がないレックスたちは、そんな人間たちの領域にまで手を伸ばし始めた。そこで人々は自衛のために対レックス部隊を結成。広大なハイテク都市「アイランドシティ」を拠点として、人類をおびやかすレックスたちと戦いを繰り広げた…。
確固とした設定や、バンクフィルムっぽさのある改造カーの発着シーン、そして一本の映画としては統一感に欠けるストーリーから察するに、どうやらアメリカのTVシリーズをビデオ用に纏めたらしいこの作品。アイランドシティ内での隊員同士の人間ドラマと、シティ外でのレックスとの戦いが交互に織り込まれる構成になっているものの、戦闘パートの方は「近所の砂地でドンパチやってます」といった感じが漂っていてさほど面白くない。ドラマパートの方が脚本も生き生きとしており、明らかに作品の肝となっていた。リーダー格だけれど鼻の穴がでかいトム・ヴァルドゥーン大佐を始め、全部で四十二人いるグレッグ兄弟や、レックスと人間との混血児であるメンディ中尉など、隊メンバーには一癖も二癖もある面子が揃い踏み(中でもメンディ中尉は、生い立ちからくる肩身の狭さとそれに立ち向かおうとする強い心とを持ち合わせ、影の主役的ポジションとして実に良い雰囲気を醸し出していた)。そんな彼らが織り成すドラマは見ていて非常に楽しく、戦闘パートの不足を十分に補っていた。ストーリー自体が盛り上がりに欠ける他、設定の説明が急ぎ足過ぎるためこの評価となっているが、もし存在するのならば他のシリーズもぜひ観たいところである。

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