悪魔のえじき2 デビルズ・マザー 「評価 C」
権力と貧困が混じり合う町、ハンブルグ。現在この町は、郊外の森で頻発する殺人事件の話題でもちきりだった。新聞記者のポールが事件について調べたところ、犯人はどうやら十数年前に死亡した大量殺人鬼カールの息子らしいことが判明する。父親の血を受け継いだカールJr.が、年老いた母親の命令によって森に入る人間を次々と血祭りに挙げていたのだ…。
ジャーマン・スプラッターの快作「VIOLENT SHIT」シリーズの二本目。日本の配給会社が勝手に付けた冒頭部分のテロップは本作に於いても尚健在。だが「悪魔のえじき ブルータル・デビル・プロジェクト」のテロップで恰も事実を撮影した映像であるかのように煽っておきながら、本作のテロップで「前作『悪魔のえじき』に登場したカルトな大量殺人鬼マイスター。今回はその数年前に遡る──(以下略)」と記し、思いっきり「このシリーズはフィクションですよ」と公言していたのは一体何だったんだろうか。
さてこの映画、「ブルータル〜」以前に製作されたこともあってか、「ブルータル〜」に比べるといまいち面白みに欠ける出来だった。チャイニーズ・マフィア同士の迫力の欠片も無いカンフー勝負を三分近く見せられたり、本編に全く関係の無いポールの取材がやたら長く続いたりと、尺稼ぎとしか感じられないシーンがやたらと多く、作品のテンションがいまいち持続しないのだ。
残虐シーンについても同じことが言え、スコップで女の頭をグチャグチャにしたり、男の股間にフックを引っ掛けたり、顔のキズをホッチキスで留めて治したりと、凡百のスプラッター映画を遥かに凌ぐ凄惨なシーンは大量に盛り込まれているものの、生首飛ばしまくり状態だった「ブルータル〜」にはさすがに及ばない。
ただ本作、一つだけ「ブルータル〜」に勝っている点があった。それは年老いた母親による性的描写だ。上手に殺人ができたカールJr.への御褒美として自分の股間を舐めさせる。50はゆうに越えているだろうシワシワの裸体を晒し、日焼けマシンに横たわる。どちらも老女趣味の無い人間には残虐シーン以上にエグく感じられ、女っ気が殆ど無かった「ブルータル〜」には無かった種類の気色悪さを醸し出していたのである。
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