レイザーバック 「評価 B」
シドニーの西960キロに存在する田舎町ガムラ。ここではカンガルー猟師のジェイクが、愛する孫スコティを殺した伝説の巨獣レイザーバックのことを追い続けていた。そんなある時、アメリカの環境保護団体の女性べスが、カンガルー猟の取材のためにこの町へとやってきた。ところが缶詰工場の撮影に行った帰り、彼女は忽然と姿を消した。彼女の行方を追ってガムラへとやってきた夫のカールは、ジェイクの話を聞き、べスはレイザーバックに殺されたのだと確信し、復讐を開始した…。
MTVのプロモーション・ビデオを数多く手がけた、ラッセル・マルケイの長編デビュー作。べスの車にライトが差し込むカットや瀕死の鹿にトドメをさすカットなど、スモークと照明を存分に生かした映像作りが印象深い。また赤い月が輝く夜空や乾燥してひび割れていく荒野といった、オーストラリアの広大な自然を満喫できるのも作品の大きな魅力である。
この映画で大暴れする巨獣レイザーバックは、通常の五倍の大きさを誇る巨大なイノシシ。さすがにそれだけの大きさの着ぐるみを動かすのには骨が折れると判断したのか、画面に映るレイザーバックは、普通サイズのイノシシの大写しと、牙や頭といった体の一部分をズームして見せることで表現されている。おかげでいまいち迫力に欠け、クライマックスの缶詰工場での決戦が盛り上がらなかったのはいただけない。しかしレイザーバックによる「通った跡には瓦礫の山しか残らない」と言わんばかりの圧倒的な破壊描写は壮観だった。一軒家にミサイルの如き猛スピードで突っ込んでいき、床や壁板をガリガリ剥がして去っていく。コンテナに繋がれた鎖が体に引っ掛かると、そのまま巨大なコンテナを引きずっていく。こういった描写によってモンスターのパワフルさを見せつけるやり方、個人的に物凄くツボでした。
TOP PAGEへ