ケルベロス                  「評価 C」
ルーマニアの国立美術館に強盗団が侵入し、アッティラ王の鎧を盗み出した。彼らを指揮していたのは元北朝鮮の高官である大富豪・サン。彼は権力者の証として、アッティラ王が所有していたという武具を強引な手段で集めていたのだ。そして次に目を付けたのは、所有者に不死の命が与えられるというアッティラの剣。その在り処を知っているゲインズ博士から話を聞きだそうとするが、ゲインズ博士の側には特殊部隊員のジェイクたちがついていた。サンの野望を知ったゲインズたちは、それを阻止せんとアッティラの剣が眠るルーマニアの古城へと急ぐ。幾つもの罠を掻い潜り、いよいよ柩に収められていた剣を発見するゲインズたちだったが、そこへサンの部下である男カッターが現れた。カッターは密かに彼女たちの後を追っていたのだ。ジェイクたちの身動きを封じ、悠々と剣を手にするカッター。しかしその時、地獄の門が開かれ、古くから剣を守護していた魔物・ケルベロスが姿を現した…。
「ガーゴイル」や「ブラド」などに続く、怪奇伝説の本場ルーマニアでロケが行われた怪物映画。峠に聳え立つ古城や歴史の趣が感じられる街並みなどが例によって怪奇ムードを醸し出してくるものの、本作では予算の都合か専らセット撮影が中心で、風景を楽しめるカットが殆ど無いのが辛いところ。また作品の顔とも言うべきケルベロスは、尻尾の蛇を十メートル以上伸ばして相手を捕まえたりといった細かな見所は用意されていたものの、「ガーゴイル」のような質感に乏しいCGで描かれているためにどうも迫力が感じられない上、アッティラの剣を持ったカッターの方が不死身というオプションが付いているだけインパクトに勝っており、今一つ顔役としての威厳に欠けた印象だった。ゲインズの弟のザックや特殊部隊の面々など、脇役がそれぞれ強烈な個性を発揮してたので面白いと言えば面白かったが、ルーマニアロケ映画の行き詰まりを感じずにはいられない作品だった。

TOP PAGEへ