悪魔のえじき2                 「評価 D」
サンディはある日、刑務所を脱走してきた恋人ケビンによって監禁された。彼女が連れてこられた地下室には、同じく監禁された三人の男の姿が。ケビンの元同僚ダグ、サンディの上司ジョー、そしてサンディの隣人ジェリー。どうやらこの四人はケビンの裁判に不利な証言をしたために捕らえられたようだが、サンディはその顔ぶれを見て驚いた。彼らは皆、かつてサンディをレイプしたことのある男たちだったからだ。不意をついてケビンを殺害し自由を得たサンディは、他の三人が麻薬漬けで身動きが取れないのをいいことに彼らへの復讐を開始した。そう、彼女の母親ジェニファーがかつて、自分を虐待した男たちを皆殺しにしたように…。
劇中で主人公のサンディが「発情アニマル」のジェニーの娘ではないかと思わせる証言をする以外、「発情アニマル」こと「悪魔のえじき」とは何のつながりも持っていない作品。なんでもDVDに収録されている監督インタビューによればたった8日間で製作した超即席映画だそうで、おかげで稚拙な演出とだるい脚本、そして見る気をなくさせる構成と、最低映画の三大要素が三位一体の攻撃で襲い掛かってくる壮絶極まりない内容だった。
まずケビンが殺害されるまでの前半部分。尺稼ぎのつもりなのか、場面間に教会や木々の葉っぱなんかを撮影した一分ほどの無意味なカットが何度も何度も挿入され、話の進行を殊更に妨げる。しかもそういった合間を縫ってなされるストーリー進行の殆どはサンディの一人語りによるもので、映像に全くといって良いほど動きがないのだ。
こんな拷問のような内容が延々と続くのかと思えば、ケビンが殺され、サンディが三人に復讐を開始する辺りからようやく映像に動きが出始め、それまで嫌というほど発生した風景カットの挿入も減っていく。ところが今度は凄惨さの欠片も感じられない拷問シーンの連続という、これまた酷すぎる展開が待ち構えていた。押し付けられているように見えないタバコ。本物には到底見えない排泄物。刺さっているように見えない木の棒──と、製作者のやる気を疑う(まあ、8日で作った映画にやる気も糞も無いが)チープさ爆発の演出に溢れ、前半同様に観ているのが苦痛でしょうがなかった。
そう、この映画でサンディからの拷問を受けるのは三人の男たちではない。我々観客たちなのである。
(ちなみにこの映画、いくらレイプされた女の復讐劇とは言え、エロス目的で観賞するのもオススメしない。と言うのもサンディ役の女優は腹のぼてついた典型的な中年女性体型で、両腕にはタトゥーがあって髪は紫色。余程の好き者でもない限り、彼女の裸身に興奮を覚えることは無いと断言できる)

TOP PAGEへ