デビルスピーク               「評価 B」
軍人養成学校に通う青年、スタンリー・クーパースミス。彼は良家の人間ばかりが通う学校内で唯一の孤児であり、クラスメイトのババたちからは毎日のように酷いイジメに遭わされていた。そんなある日のこと、クーパースミスは礼拝堂の地下室を掃除している際、ラテン語で書かれた古文書を発見する。コンピューターのプログラムを使って翻訳してみたところ、それは16世紀の悪魔崇拝者ロレンソ・エステバンが著した、黒ミサの作法を記した書物だった。そうと知ったクーパースミスは、黒ミサによって悪魔を呼び寄せてババたちに仕返ししようと目論んだものの、儀式には大量の生き血と聖餅が必要ということで、実行に移すのには二の足を踏んでいた。ところが日に日にイジメは激しくなる一方で、思いを寄せていた女性の前でズボンを脱がされ、友達だった犬までもが殺され、いよいよ彼の怒りは爆発。礼拝堂の祭壇から聖餅を、教官を殺害して生き血を得、儀式を敢行した。蘇った悪魔はクーパースミスの体を借り、学校の連中を虐殺し始める…。
苛められっ子が超自然の力を借りて復讐を行う、「キャリー」のような内容のオカルト映画。ただ本作の場合、力を発動させるためには儀式が必要であるという点が復讐モノとしてはネックになっているように思えた。このおかげで「こいつらを殴りたい!」と観客が思った瞬間に復讐開始とはいかず、即座に逆襲モードに入った「キャリー」に比べるとクライマックスが分散されているように感じられるのだ。
一方で演出は健闘しており、生贄の儀式や悪魔の力が発現する場面など、作中の見せ場となる箇所で壮厳なコーラスが流れて雰囲気を盛り上げるのが印象的。映画のクライマックス、クーパースミスをぞんざいに扱っていた連中が頭を真っ二つに切断されたり心臓を抉り出されたりと次々にグロテスクな死を遂げていくのだが、質感に溢れた特殊メイクが虐殺の凄惨さを際立たせていたのも忘れがたい。
また動物パニック映画好きとしては、悪魔に操られた豚の大群が人間を食らう場面も小さな見所だろう。普通の豚が人間を食う映画なんて「殺人豚」とこの映画ぐらいなもので、珍しいシチュエーションには思わず目を見張ってしまった。

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