暗闇の悪魔 大頭人の襲来 「評価 B」
平凡な田舎町、ヒックスバーグ。ここに住む若者たちの唯一の楽しみは、「恋人の丘」と呼ばれている農場の一角で愛を語り合うこと。ジョニーとジョアンのカップルも例外でなく、この日の晩も恋人の丘で互いに愛し合った後、市街地まで車を走らせようとした。だが途中の道で、二人の車は何か人間のようなものを轢いてしまう。見るとそれは、子供ほどの身長しかない、大きな頭をした怪物だった。円盤に乗って地球へとやってきた宇宙人の一人が、森の中をうろついていたところを車に轢かれたのだ。「若者たちが農場に侵入している」という農場主の通報によって現場には警察が駆けつけてきたものの、宇宙人の死体はジョニーたちがいない間に他の仲間達によって回収されており、「宇宙人を轢いた」という彼の話はジョアンを除いて誰も信じてはくれなかった。それどころか署に運び込まれた死体についての殺人容疑をかけられ、警官から取り調べを受けることになってしまったジョニー。彼は宇宙人が存在するという証拠を集めるため、ジョアンと共に警察署から逃げ出した…。
大人がさっぱり役に立たず、若者たちが団結して宇宙人に立ち向かうというコンセプトに、50年代後半の風潮を感じずにはいられないSF映画。開始早々観客に話しかけるナレーションといい、「THE END...until the next time」というエンドクレジットといい、全編に渡ってどこか人を食ったような、ひねくれた雰囲気が漂っているのが印象的だった。本作に登場する宇宙人たちは、血管の浮き出た頭にとがった耳、そして血走った目と非常にグロテスクなデザインなのだが、弱点である光を当てられると顔を手で覆ってピーピー鳴き出すあたり、「金星人地球を征服」の金星ガニにも通じるキモ可愛さを見出すことができる。鋭い爪からアルコールを分泌して相手を酔わせたり、目玉のついた手を切り離して独自に動かしたりと、様々なギミックに富んでいるのもモンスター好きには嬉しいところだ。
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