巨人獣 プルトニウム人間の逆襲 「評価 B」
放射能の影響で、身長60フィートを超える巨人になってしまったマニング大佐。ラスベガスを荒らし回った末に軍隊の集中砲火を浴び、ダムからの転落死を遂げたかに思われたが、実はまだ死んではいなかった。顔に大怪我を負った状態で、メキシコの岩場へと逃れていたのである。それを知った米軍は岩場に出動し、マニングを捕獲。その後、彼の妹の懇願もあって、何とかして巨人マニングに平穏な生活を送ってもらうことはできないかと政府や軍で話し合いが行われたが、全員が納得するような結論はなかなか出てこなかった。しかしそうこうしている間に、理性を失っていたマニングは施設を脱走。付近一帯の住民たちを恐怖に陥れた…。
「巨大生物の島」「巨大蟻の帝国」などのバート・I・ゴードンによるSF映画「戦慄! プルトニウム人間」の続編。前半部分が殆ど一作目のダイジェストで構成されているので、別に前作を観ていなくてもストーリーを十分に理解できる。そんな内容だから60年代当時、日本では「戦慄! プルトニウム人間」を差し置いて本作だけが劇場公開されるという、何とも変な現象が発生したのは有名な話だ。
この映画、実物合成で有名なバート・I・ゴードン作品なだけはあって、特撮部分の出来は御世辞にも良いとは言えない。例えば逃げる車を巨大な足が追いかけるカットでは、映像の切り取り方が粗雑なため、足の周りに変なオーラが纏わりついているように見えるのだ。しかし上層部の冷めた態度と妹の真摯な姿とを対比させた脚本は悪くなく、この荒唐無稽なコンセプトの作品を不条理悲劇として見事に昇華させていた。またラストシーンのあっと驚く演出も気が利いており、悲劇的な内容をより強く印象付けていた。
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