オープン・ハウス 虐殺の館 「評価 D」
売家を見学に来た人間ばかりを狙った連続殺人事件が発生した。犯人は殺された人間を「SOLD」の血文字と一緒に家の中に放置し、次に見に来た人間を戦慄させるという悪趣味極まりない手口を用い、町中の住宅売買業者を恐怖に陥れていた。そんなある日のこと、心理学者デビットがDJを務めるラジオ番組に、ハリーと名乗る男からの電話があった。しかし「連続殺人事件の被害者たちは死んで当然だ」とだけ言うとハリーは電話を切り、デビットは只ならぬ不気味さを感じ取った。その後も毎日のようにハリーからの電話が来て、戸惑うデビット。だが警察の調べから、ハリーが例の殺人事件の真犯人らしいことが明らかになる…。
パックリ割れた人の頭から一軒家が飛び出しているというビデオのパッケージデザインが素敵極まりない、プリズム・エンターテイメント発の不動産サイコホラー映画。冒頭の死体が見つかるシーンでは、「SOLD」の血文字もさることながら、家の床に大量の蟻が集っていたり、死体の周りを沢山の蝿が飛びまわっていたりと、無数の虫をぶちまけた演出が良い感じに嫌悪感を上昇させ、作品への期待感を増大させてくれた。ところが本作、以後のシーンでここに匹敵する輝きを見出すことはできなかったのである。その後は平凡なホラー映画と化してしまい、ハリーからの電話で緊張感が高まることもなければ、殺しの手口に面白味を感じることもない。映画のクライマックス、額を撃ち抜かれて脳味噌を垂れ流しているというのに起き上がってくるハリーのガッツには恐れ入ったが、これも格別に凄いという程ではなく、冒頭のシーンから得た期待を満足させてくれるには至らなかった。失速前と失速後とのギャップが凄まじい映画である。
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