ミラクルファイター 「評価 A」
清朝中国、八旗軍の総帥カオは満州人の身でありながら漢人の妻を娶ったことを知られ、地位と名誉を失ってしまった。皇太子を人質にとって何とか宮廷から逃げ出したカオだったが、その際に図らずも皇太子を殺害してしまった。その後、小さな町で隠れるように生活していたカオは、罪滅ぼしのために捨て子のジュコンを引き取り、我が子のように大切に育てていた。しかしジュコンが立派な青年に成長したある日のこと、彼らの元に皇帝直属の大法師がやってきた。ジュコンのことを皇太子と誤解した大法師は、抵抗するカオを殺害。そしてジュコンを連れ去り、自らの邸宅へと軟禁した。ところがジュコンは、見張り役の壺人間の目を盗んで邸宅から脱走。仲違いしている老人と老婆が暮らす家へと逃げ込み、彼らの下で修行を積みながら生活していくことになった。凄腕の法師である二人に可愛がられ、着々と実力をつけていくジュコン。しかしある日、彼らの家に大法師たちが襲撃をかけ、老婆の方が無残にも殺害されてしまった。ジュコンは彼女から受けた恩義を返すべく、彼女が出たがっていた十年に一度の法術大会への出場を決意する。そして法術大会当日、並み居る法術使いたちを押し退けて勝ち進んでいくジュコンだったが、出場者の中にはあの大法師も紛れ込んでいた…。
ゴールデン・ハーベスト社配給の法術カンフー映画。目玉は法術使いたちが繰り出す技の数々で、殺人コマや紙の剣、影縫いに空中歩行と実に多種多彩。CGをバンバン使うようになる以前の香港映画とは思えないくらいに(失礼)特殊効果の使い方が丁寧で、見ていて殆ど違和感が無く、純粋に技同士の応酬を楽しむことができるのも素晴らしかった。
またクライマックスの法術大会も、出てくる課題が煮えたぎる油の中から鍵を取って手錠を外すとか、蛇の大群が敷き詰められた川にかけられた紙の橋を渡るとか、手の込んだものばかり。それらの関門をライバル選手たちの妨害を掻い潜りながら、師匠から受け継いだ技を駆使して突破していくというシチュエーションには、否が応にも燃えてしまう。
ストーリー自体は実に大雑把なものだったが、「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」のような超絶カンフー映画が好きな人ならばきっと気に入る作品だ。
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