死霊の悪夢 「評価 C」
冒頭でイチャついているカップルが出てくると真っ先に殺されるのがホラー界における定石だが、本作もその例に漏れず、湖畔で愛を交していたカップルが何者かに襲われるところから始まる。男は脊髄をグチャグチャにされた上に頭に釘を打たれて湖に捨てられ、女の方は激しい強姦を受けて子宮を破壊され──と、実に無残な襲われ方をした二人。彼らは翌日発見されたが、男の方は既に死んでおり、女も病院に運ばれて危篤状態だった。その後も町では、若い女性が強烈なレイプの果てに子宮を破裂させられるという事件が続発する。女性の体には大量の精液が残されていたことから警察は複数犯による犯行と見なしたが、彼女らに治療を施した外科医コーデルは持ち前の直感から、事件は単独犯によるものではないかと考えていた。新聞記者のローラと共に事件を調べていたコーデルは、やがて古びた館に住む青年・ティムに目を付ける。拷問によって殺害された女の忘れ形見であるティムは、夜な夜な凄惨な夢を見ては家を抜け出していたのである…。
淫魔インキュバスが人々を襲うオカルト・ホラー映画。出来の悪いオカルト映画にありがちな欠点「脚本が説明不足気味で中盤以降ストーリーを追うのが困難になる」をそのまんま持っており、おかげで後半になるにつれてどんどんテンションが下がっていくのは何とかして欲しかった。
しかしこの映画、女性の悲鳴へのこだわりが半端なものではなかった。ホラー映画における美女の悲鳴と言えばカレーにおけるラッキョウのようなものだが、本作のラッキョウは凡百のラッキョウとは格が違う。エコーやスロー再生といったエフェクトが多用される上に一つ一つのシーンがやたらと長く、観ている側にも苦痛が伝わってくる程に凄惨な仕上がりとなっていたのだ。特に図書室でレイプされる女性が悲鳴をあげるシーンは、一分近くも続く絶叫にただ圧倒されるばかり。この悲鳴によって、他の映画との差別化に成功した映画だ。
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