コンバットショック ベトナム帰還兵残酷物語(別題:死神ランボー 皆殺しの戦場)「評価 C」
ベトナム帰還兵のフランキーは、祖国アメリカで辛い生活を強いられていた。街を歩けば凶悪な借金取りに追い回され、家に帰るとフリークスの子どもが延々と泣き続け、彼の精神を乱し続ける。おまけに昔の知り合いたちは麻薬や売春に手を染めて心身ともにズタズタになっており、また実の父親は妻を失ったショックで精神が錯乱しており、フランキーが戦場で死んだと信じて疑わない。最早頼るものが何も無く、見る見るうちに衰弱していくフランキーだった。ところがある日、借金取りに追い詰められた彼の脳裡に、封印されていた戦場での記憶が蘇ってきた…。
戦場から必死の思いで帰還してきた男の悲惨な末路を追ったトロマ映画。趣味の悪さを徹底的に追求したかのような危険極まりない内容で、作中ではフリークスやヤク中や痴呆老人たちが乱れ咲き。それでいて根本に据えられているテーマが「ベトナム帰還兵の悲哀」なんだから、いやはや恐れ入るばかりだ。
この映画の最大の見所と言えば、やはり「イレイザーヘッド」ばりのデザインをしたフリークスの赤ん坊だろう。目の動きが妙にリアルでぞっとさせられる他、クライマックスでのオーブンにぶち込まれる場面では血の沸騰する音が聞こえてくるなど、かなり気合の入った演出がなされていて吐き気を催さずにはいられない。ただ泣き声に普通の赤ん坊のものが使われているので、「イレイザーヘッド」ほど異形っぽさを感じさせないのは惜しいところだ。
この映画、トロマにしては珍しく、あからさまなギャグが一切盛り込まれていない。真剣かつ陰惨にエグいシーンを描いているので、気色悪さの点で言ったらトロマ作品の中でも群を抜いていた。

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