ランボー者                 「評価 D」
ベトナム戦争に従軍中の兵士、ジョン・スティール。南ベトナム兵のリーと共に戦場を生き抜いてきた彼だが、ある時味方であるはずのクワン中尉に裏切られ、危うく命を落としかける。何とか罠を掻い潜った二人は、終戦後カリフォルニアに渡った。リーは麻薬密輸を取り締まる警部補となり、また家庭も持って幸せな生活を送る一方、ジョンは戦場の後遺症に悩まされ、アメリカでの平凡な日々にいまいち馴染めずにいた。だがそんな二人の前に、再びベトナムの影が現れた。ベトナムマフィアのボスになったクワンが、カリフォルニアへ麻薬の密輸を開始したのである。更にマフィアを追っていたリーがクワンの手の者によって始末され、怒りに燃えたジョンは復讐を心に誓った…。
マーロン・ブランド主演のアウトロー映画「乱暴者(あばれもの)」とは一切関係の無い、「ランボー」のヒットに便乗して製作されたベトコン・アクション映画。主人公のジョンは戦場でのトラウマに悩まされて社会に溶け込めないという、まんまランボーを意識したキャラクターだ。しかし社会に拒絶されたランボーとは違い、ジョンには女もいるし気にかけてくれる仲間もいる。そのため帰還兵としての哀愁は遥かに薄れており、作品内容が平凡なバイオレンスアクション染みているのは如何なものか。
またこの映画、マーシャル・アーツ・ブームに乗ってか作中で日本刀が出てくるものの、それを使うのが特に刀に秀でているわけでもない敵役のクワン。一方のジョンは銃火器で武装しており、刀のアウトレンジからガンガン攻撃を加えてくる。銃で武装した敵に不利な刀で立ち向かうからこそカタルシスが生じるのであって、逆では単なるイジメにしか見えない。最後の最後になって漸くジョンは銃を捨ててクワンとの近接戦に臨んでくれるが、そもそも大して強くも無い敵役に不利な武器を持たせたことが失敗だったのだ。おかげでクライマックスが盛り上がりに欠けたものとなり、アクション面でも良い印象が残らなかった作品だった。

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