激突!!'88 「評価 D」
休日になるとハイウェイが込むのは日本も欧米も同じこと。本作の舞台となるフランスでも、聖ジュリエット祭という何を祝うんだかさっぱり分からない日にかこつけてバカンスに行こうとする車によってハイウェイは酷い渋滞に陥っていた。そうなると必然的に発生するのが衝突事故というもの。あっちではブレーキが未整備の車を走らせてドカン、こっちでは悪ガキどもが親父の車を勝手に乗り回してズドンと、ハイウェイは血みどろの死傷者と無残に変わり果てた車とが累々と積み重なり、病院も廃車処理工場もてんてこ舞いの大忙し。この映画ではそんな交通地獄の様子を刻々と綴っているのだが、さすがにそれだけでは映画としての筋が弱いと思ったのか、不幸な女・ジュリエットの悲惨な休暇をストーリーの軸として据えている。彼氏に騙され浮浪者にストーキングされ、挙句に折角めぐり合えた良い男は事故で倒れ──と「ここまでやるか」と言いたくなるほどの踏んだり蹴ったり具合なのだが、肝心のラストが投げやりすぎて主軸としての機能を果たしておらず、正直各事故をオムニバス形式で追っていったほうが全体の纏まりが良くなったのではと思えてしまう。そんなストーリーの中途半端さがいただけない、ミミビデオ発の「馬鹿どもに車を与えるな」ムービーだった。
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