情無用の戦士              「評価 D」
北朝鮮辺境の村々で、ジェイソン率いる傭兵部隊による拉致事件が続発していた。部隊のバックには怪しげな博士がおり、拉致された人々は彼が開発中の「人種選別薬」の実験体として使われているらしい。そこで彼らの凶行を止めるべく、エージェントのマメットと特殊工作員のリックは辺境地帯へと向かうが…。
まだ冷戦も終わっていない1987年、製作者の必死の交渉によって大規模な北朝鮮ロケが敢行されたアメリカ映画。しかし撮影許可が降りた時点で製作側が力尽きてしまったのか、作品としての出来は凡作もいいところで、それまでの苦労に報いているとは到底思えなかった。とにかく脚本が説明不足で、登場人物に思わせぶりな台詞を言わせておきながら、それが何を意味していたのかが最後まで明かされない──なんて箇所が多すぎるのだ。「北朝鮮の農民が西洋人に拉致される」という、今となってはブラックジョーク以外の何物でもなくなった冒頭部分には笑ってしまったが、脚本の不備は何とかして欲しかった作品だ。
ただこの映画、80年代当時の北朝鮮の田舎町やホテル、港といった場所の様子がしっかりと撮影されているので、見識を広める分には観ておいて損はないかもしれない(特にモスクワさながらの地下鉄の駅には驚かされた)。

TOP PAGEへ