D.N.A.リローデッド ドクター・モローの館   「評価 D」
南太平洋の孤島で獣人を作る研究をしていたモロー博士。しかしある時、自分の醜い姿に悩んでいた獣人たちが反乱を起こし、モロー博士は彼らを人間に戻すための下僕にされてしまった。獣人たちを人間に戻すためには健常な人間の臓器が必要というわけで、モロー博士らはアメリカ本土に上陸し、精神病院跡を根城としてせっせと死体を掻き集めていた。だがそこへボクサー崩れの青年エリックたちが迷い込んだことにより、彼らの行っていたことは白日の下に晒されてしまう…。
モロー博士が出てくるという理由で、「D.N.A.」という邦題が付けられた作品。だが本作でモロー博士らが住んでいる精神病院跡の通称であり、また原題にも付いている「苦痛の家」とは、77年の「ドクター・モローの島」でモロー博士が規則を破った獣人を罰していた場所のことだ。罰する方法がリモコンによる電気ショックになっていた「D.N.A. ドクター・モローの島」の方には当然出てこないので、この作品に「D.N.A.」という邦題を付けるのは少々間違っているような気がしないでもない(まあ、モロー博士すら出てこない「U」〜「新」なんかに比べたら、本作は最も「D.N.A.」シリーズを名乗る資格があると言えるが)。
この映画には合計四体の獣人が出てくるものの、そのうち一体は完全な人間の姿をしていて、しかも残り三体は実に呆気なくやられてしまい、正直クリーチャー物としての魅力はさほど感じられない。かと言って他の要素が充実しているのかといえばそんなことはなく、逃げていた女が何時の間にか捕まっていたりする説明不足の脚本、戦闘シーンなのに一向に盛り上がらない淡白な演出と、どれもこれも水準以下の出来で観ているのが辛くなってくる。主人公のくせに最初から最後まで役立たずを貫き通したエリックのキャラには感動を覚えたが、それ以外については褒めがたい作品である。

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