D.N.A. ドクター・モローの島 「評価 C」
救命艇に乗り、南太平洋上を漂流していた青年エディ。すっかり力尽きていたところを通りかかった帆船に助け出された彼は、乗組員らの目的地である孤島へと送られた。そこに暮らすのは、アメリカ本土を追放された生物学者モロー博士。博士は動物と人間との遺伝子を掛け合わせ、獣人を生み出す研究を行っていた。彼ら獣人は人間に逆らうと電気ショックが流れ出す装置が体内に埋められており、これによって秩序が保たれていた。だがある時、ハイエナと呼ばれる獣人がこの装置を除去したことから獣人たちの反乱が始まったのである…。
H.G.ウェルズ「モロー博士の島」の三度目の映画化作品。メイク技術の進歩によって獣人たちは一層リアルな造形になっていたが、それよりもマーロン・ブランド扮するモロー博士の「白塗りメイク+でかい帽子」の方がインパクトの面で遥かに凌いでいるのが困りどころ。「掟の矛盾による混乱から反逆に向かう」という従来の展開が大幅に改変され、ハイエナの個人的悩みから反乱が起きるというのも、獣人たちの魅力を大きく削いでいて据わりが悪い。「ラットマン」ことネルソン・デ・ラ・ロッサが、博士の周りをチョロチョロする獣人役で出演して「本物」の凄みを見せ付けている点を除けば、獣人に良いものを見出せない作品だった。
またこのバージョンの他の特徴としては、アクション色の濃いことが挙げられる。獣人らが器用にマシンガンを操ったり、派手な爆発シーンが連発したりと、後半はド派手な見せ場の連続。いかにも90年代らしいと言えばそれまでだが、島に暮らす美女が野性の本能を剥き出しにして獣人たちに襲い掛かるシーンなんかは、旧作のファンならば卒倒してしまうことだろう。
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