宇宙異獣体 トランザリアン         「評価 D」
宇宙輸送船のパイロットであるジョン・ウルフは、航行途中にストリッパーと熱く愛を交す夢を見た。ところが目が覚めてみると、何時の間にか宇宙船はトラブルを起こして航行不能の状態に。ジョンは慌てて進路を修正し、近くの刑務所惑星バルカンへと船を着陸させた。そこで船の修理をしてもらいながら、所員のミランダと仲良くなるジョンだったが、そのとき彼の体は肉体的・道徳的・精神的堕落を招く奇病に蝕まれていた…。
「パペット・マスター」「SFレーザーブラスト」のチャールズ・バンドがプロデュースしたSFホラー。オープニングで幼年向けファンタジーっぽい軽快な音楽を流しておきながら、本編はエロとグロにまみれた陰湿な内容で、まずそのギャップに仰天させられる。奇病に冒されたジョンは刑務所内のバーにたむろしている女囚人たちを漁り、恰もエイズのように刑務所中に病気を蔓延させていく。同時に病気も進行し、初めは全身に吹き出物が生じる程度だったのが、やがて全身の皮膚が歪み、角が飛び出て、ウィッシュマスターを照り焼きにしたような風体の怪物へと変貌する──。グロテスクな奇病に加えてエロスも盛り込むというチャールズ・バンドらしいB級感溢れるコンセプトではあるが、どちらも中途半端でいまいちパッとしない。ベッドシーンの描写は抑え目だし、怪物の方も中盤の会話で散々「強いぞ強いぞ」と煽っておきながら、いざ戦ってみると実に呆気なくやられてしまう。吹き出物のエグさぐらいしか楽しめる箇所の無い映画だった。

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