SFレーザーブラスト           「評価 C」
誰もいない荒野で、人間型宇宙人とトカゲ型宇宙人との抗争が繰り広げられていた。人間型宇宙人はレーザー砲を武器に必死の応戦をするが、数で勝るトカゲ型宇宙人たちの前に敢え無く敗れ、消し炭にされてしまった。戦いを終えたトカゲ型宇宙人は、自分たちの宇宙船に乗り込み、遥か宇宙の彼方へと帰っていく。現場に人間型宇宙人のレーザー砲とペンダントを残して…。一方すぐ近くの町には、頼りない青年ビリーがいた。二人の悪友には毎日のように苛められ、思いを寄せる女の子には守ってもらってばかり。そんな野比のび太の如き典型的ダメ男街道をひた走るビリーが荒野を散歩していたところ、これらの宇宙人の遺物を拾い上げてしまったのである。面白半分にペンダントを身に着け、レーザー砲を撃ちまくるビリー。しかし人間型宇宙人の呪いなのか、彼の体は徐々に怪物化していった…。
スターウォーズの看板をレーザーで吹き飛ばすカットに「キングスパイダー」と同じC級魂が感じられるSFホラー映画。もしのび太の前に現れたのが22世紀のネコ型ロボットではなく、凶悪な殺人兵器だったら──といった内容で、ペンダントの作用でどんどん精神の歯止めが利かなくなり、レーザー砲で目に付くもの全てを破壊するようになるビリーの変貌ぶりが存分に描かれている。物を破壊した後にビリーが浮かべるにやけた表情からは、圧迫されていた社会からの解放によるカタルシスを僅かながらでも感じ取ることができるだろう。
デヴィット・アレンの人形アニメによるトカゲ型宇宙人もこの映画の魅力であり、滑らかな動きと異質なデザインは見ごたえ十分。作品の質を大きく底上げしていた。
しかしストーリーそのものは陳腐な上、展開が遅いために退屈を感じてしまうのが辛いところ。人形アニメの怪物などに関心がない人には、あまりお勧めできない作品だ。
(この映画がテレビ東京で放映された際、トカゲ型宇宙人の出るカットは全て省かれていたらしい。わざわざ作品の魅力を大きく損なうような真似をするテレビ東京って…)

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