アイス・ハザード                「評価 B」
東欧のウラル山脈、標高九百メートルの地点では、トムとジョックの兄弟が小さなツアー会社を経営していた。ところが客をスノーモービルに乗せて遊ばせていたところ、その震動で雪崩が発生。近くの町が雪に埋もれて大損害を負い、二人は大顰蹙を買ってしまう。あまつさえ先程の客に会社のスノーモービルまで壊されて踏んだり蹴ったり。そんなトムとジョックに、地質学者のカーチャは雪山の調査の手伝いをするよう依頼した。失意のどん底に沈んでいたトムとジョックは彼女の申し出を引き受け、共に雪山に向かうことに。ところが調査の結果、近々氷河が崩壊して大きな雪崩が発生することが明らかになったのである。カーチャは街の人間にこのことを告げるが、スキー場のオーナーであるエルキンは彼女の言うことを信用せず、ホテルの建設工事を中断しようとはしなかった。そうしている間にも、氷河は刻一刻と崩れていき…。
冒頭で一つの町が雪崩に襲われるという、いきなりの大盤振る舞いで度肝を抜いてくれるこの作品。雪崩は映像技術的には物足りない面もあるが、高さ十数メートルはあるホテルが雪崩に呑まれ、一番上の屋根だけポツンと地上に出ているといった視覚に訴えかける描写がそれを補ってくれた。
またその他の見所としては、スキー場の支配人エルキンの特異な人物設定が挙げられる。彼のような主人公サイドの言うことを無視して酷い目に遭う人物は、多くのパニック映画では典型的なエゴの塊として描写される。だが本作のエルキンは、ホテル建設に取り組む背景が深く掘り下げられており、「暗い過去を清算するために夢の実現に全力を注ぐ男」という、随分と味わい深いキャラクターになっているのだ。パニック映画の定番をわざと外すことで、独自の魅力を引き出していた作品である。

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