シュラム 死の快楽 「評価 D」
1993年、ユルグ・ブットゲライトがまたしても変態映画を世に送り出した。今度の作品は快楽に生きる男を主役としており、一途に快楽を追及し続ける彼の姿が過剰なまでにグロテスクに描かれている。眼球を抉られ、太腿が切断され、性器に自ら釘を打ち…。作り物だとはっきり分かる程度の特殊効果しか使われていないが、製作側の歪んだ美意識から来るその凄惨さにはついつい目を覆いたくなってしまう。またこの映画、時間経過がバラバラなシーンを繋ぎ合わせた走馬灯のような構成になっており、味わえるトリップ感は相当なものだった。
しかし、ブットゲライトの他の作品と比べると陰惨さはあまり感じられない。映像が綺麗でアングラな雰囲気が無いのと、ラストカットの安っぽさのせいである。後者は作品全体の抽象的イメージを破壊しているという点でもいただけず、あまり評価はできなかった。
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