ミミック 「評価 B」
ニューヨークで新種の伝染病が蔓延し、多くの子どもたちが死に追いやられていた。ストリックラー病と呼ばれるこの病気はゴキブリを媒介としているので、昆虫学者のスーザン博士と相棒のピーターは、ゴキブリを殲滅してくれるハイブリッド昆虫「ユダの血統」を開発。これを街に放つことで、見事伝染病を撲滅した。またユダの血統はゴキブリを始末する役目を終えたら自然死するように作られており、放っておけば全てが丸く収まるはずだった。ところが運命の悪戯か、そこで突然変異が起こってしまったのである。ユダの血統は自滅せずに進化・繁殖を続け、三年後にはニューヨーク地下で大軍団を形成していた。それを知ったスーダンとピーターは、自分たちの責任を果たすべく地下へと潜行する…。
擬態昆虫「ユダの血統」が活躍するシリーズ第一弾。ユダの血統はカマキリと蟻の遺伝子から作られており、巨大なカマで獲物を仕留め、臭腺の分泌液から仲間かどうかを区別する。「ミミック」というタイトルの通り人間に擬態することもでき、羽根を閉ざすことで分厚いコートを纏った人間のような姿に変身する。この擬態能力はリアル且つ斬新な能力ではあるが、本編中であまり活用されているように見えないのが残念。一方で臭腺の設定はかなり有効に利用されており、分泌液を塗ることで襲撃から逃れたり、走ってくる列車の前まで誘き寄せたりと、ユダの血統に視覚が無いことを生かした場面を多々見ることができた。この調子で次回作以降は、擬態能力の方も最大限に生かしてもらいたいところである。
また薄暗い地下を舞台としながらも照明が上手く使われ、この手の映画の戦闘シーンにありがちな「暗すぎて何が起こっているのかさっぱり分からない」場面が殆ど見られないのは好印象。御都合主義的なラストは気になったが、モンスター映画としては佳作の部類に入る作品だ。
TOP PAGEへ