インセクト 「評価 C」
警官のビショップは、捜査中に負傷した相棒を近くの病院まで連れてきた。だがその直前に運び込まれてきた患者が、新種の虫に寄生されていたのである。虫は体内に毒素を持っており、その毒は寄生された患者のみならず彼を搬送した人間、そして他の患者たちへと蔓延していく。虫がそうであったように毒もまた未知のものであり、危険区域と見なされた病院は衛生局によって封鎖された。一方、患者の体内から抜け出した虫は、異形のカマキリへと成長を遂げて院内の人間を襲い始めた。事態を察したビショップは、女医や昆虫学者らと協力して虫の退治にとりかかるが…。
銃弾をも跳ね返す鋼鉄の外殻に、四つの鎌と二つの鋏が付いた六本の腕。それに加えて一晩のうちに何百もの子を産む驚異的繁殖力まで持っている巨大カマキリ。本作はそんな化け物が病院を舞台に暴れ回る昆虫パニック映画だ。あの「スパズムス 蛇霊の恐怖」と同じ製作者ということで観賞する前は怪物の造形が不安で不安でしょうがなかったが、本作の巨大カマキリは例の激痩せ大蛇と違って重量感あふれるデザインになっており、迫力もまずまず。これに関しては、良い意味で期待を裏切られた映画だった。
また純粋に昆虫が好きな昆虫学者や、妊娠中の妻を秒単位で気遣う世話焼きな男など、脇役たちが良い味を出しているのも本作のポイントで、カマキリが成長するまでの間は彼らのやり取りだけで十分楽しむことができる。
しかし後半部分、カマキリとの戦いが本格的に始まる辺りからストーリーは矛盾だらけの迷走地帯と化してしまった。解毒剤を作るために虫を生け捕りにすることになっていたはずなのに、何時の間にかそれがすっかり忘れられて巨大カマキリを殺しにかかっている。更に巨大カマキリに襲われないようにと患者たちを病室などへ避難させたのに、ビショップ自ら患者のいる部屋に逃げ込んでカマキリを誘い込み、患者たちを危険に晒すような真似をする。ここまで来るとビショップたちが何をしたいのかがさっぱり見えず、ただ戸惑うばかりだ。「スパズムス〜」とは別の方面で失敗している作品である。
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