ブルーサヴェージ           「評価 B」
スペインのマヨルカ島に暮らす、冴えない中年スヴェン。三年前に妻が失踪して以来はりの無い生活を送っていた彼だったが、ある事件を境に彼の日常は一変する。それは、マヨルカ最大級の祭り「ボートレース大会」が直前に迫った朝のことだった。浜辺に打ち上げられた死体の側に、規格外に大きなサメの歯が発見された。スヴェンが見たところ、この歯は妻の失踪現場に落ちていたものと完全に同じ形をしていたのである。妻もこの死体と同様に巨大なサメに殺されたのだと確信したスヴェンは、知り合いのベネット博士と協力してサメの正体について調査を開始した。ところが彼らの行動を妨害するかのごとく、島には謎の勢力が暗躍していた…。
「メガロドン」や「ディープ・ライジング コンクエスト」など、最近は超弩級古代鮫・メガロドンを扱った鮫映画が主流になりつつあるが、これもその一本だ。この映画の最大の魅力は、水中を猛スピードでガンガン泳ぐメガロドンの姿にある。他の映画におけるメガロドンは、その大きさからくるイメージゆえに、鯨のごとく悠然と泳いでいるのが一般的となっていた。それはそれで貫禄があっていいのだが、迫力で言ったら本作のメガロドンの方が上と言わざるを得ない。何せ数十メートルもの巨体が魚雷の如き高速で迫ってくるのだ。あまり巨大に見えないカットがチラホラあるのは残念だったが、クライマックスの水上ジャンプは巨大かつ身軽という本作のメガロドンの凄みを最大限に見せ付けた箇所として評価したいところだ。
また本作のもう一つの見所として、途中で織り込まれるカーアクションがある。漆黒の大型トラックに追い回されたり、小型車で狭い街路をすいすい走り回ってパトカーの追跡を振り切ったりと、「激突!」や「ミニミニ大作戦」を明らかに意識したシチュエーションではあるものの、どちらもカット割りやカメラワークが決まっていて見ごたえ十分。
だがこういった見せ場に富んでいる分、人物の心理描写が等閑にされている脚本が殊更に惜しまれる作品だった(特にスヴェンの親友・カルロスが奥さんの命をあっさり諦めたのには驚いた。一応あとでフォローがされたけど)。

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