人間解剖島 ドクター・ブッチャー 「評価 D」
大都会で続発する食人事件。犯人は皆東南アジアのキートー島出身者で、人類学者のローリーはチャンドラー博士らと共に事件の真相を探るためにキートー島へと出発した。チャンドラーの知り合いであるオブレロ博士の案内により、多少のトラブルがありながらも島に辿り着く一行。上陸するや否や食人族に襲われ危機に陥る彼らだったが、突如現れたゾンビ軍団によって食人族たちは追い払われた。ゾンビたちはすぐにいなくなり、ローリーたちは目の前の危機が去ったことに安堵する。だがこのゾンビたち、実はオブレロ博士の魔の研究が生み出した改造人間だったのである…。
食人族&ゾンビ。80年当時、ホラー界を席巻していた二大ジャンルが夢の競演! しかもモロー博士ばりのマッドサイエンティストまで御登場とあっては、これはもう盆と正月と犠牲祭がいっぺんに訪れたようなものだ! ビバ、食人族! ビバ、ゾンビ! ビバ、マッドサイエンティスト!
……なんてノってみたはいいものの、残念ながら本作、多彩な要素を一本の映画に纏める技量が製作側に欠けていたために今一つ中途半端な出来になっていた。都会で発生した事件を調べために東南アジアの群島へ向かう「食人帝国」ライクな序盤は、食人族の恐怖と散りばめられた謎とが相俟って不吉な雰囲気を漂わせており、そう悪くは感じられない。問題はゾンビが登場する中盤以降だ。ゾンビたちは頭や腕の部分にケロイドのようなメイクが施されているものの、それ以外の部分はノーメイクなものだから、服がめくれる度に健康そうな体つきがチラリと見えてゲンナリさせられる。オブレロ博士の研究について説明不足で、彼が最終的に何をしたいのかがさっぱり見えてこない。更には食人族もよく分からない理由でローリーの味方についたり(恐らくナイフが関係しているんだろうが、せめてローリーが解放されるカットぐらいは欲しかったぞ)と、最終的には盛り込んだ要素全てに不満が残るのである。自らの技量を鑑みずに風呂敷を広げた結果、八方破れになってしまった悲惨な作品だ。
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