ドクターモローの島 「評価 B」
船舶機関士のアンドリューは太平洋上を17日間漂流した果て、緑豊かな孤島へと辿り着いた。漂流によって上陸時には衰弱しきっていた彼だったが、島に住居を構えるモロー博士に助けられて辛うじて一命を取り留める。その後回復したアンドリューは、モロー博士の世話のもと、訪れる船を待ちながら島内を散策する日々を送っていた。ところがこの島には、博士の研究が生み出した、人間化した獣たちが徘徊していたのである…。
H.G.ウェルズの「モロー博士の島」を映画化したものとしては、32年の「獣人島」に続いて二度目となる作品。「非情な自然を探求するには非情にならなければならない」と生体実験を繰り返していたモロー博士が、自ら作った獣人たちに逆襲されるという皮肉たっぷりの顛末はほぼ原作通り。ただ前半のストーリー展開が遅すぎるために、クライマックスに突入する前に退屈を感じてしまうのは難点か。
このバージョンの最大の見所は、獣人と猛獣とが絡む場面である。何せ70年代後半の動物パニック映画ブームの頃に作られたものだから、生半可な演出では観客の興味を引くことができない。そこで虎やライオンといった猛獣類は全て本物が使われており、作中には獣人メイクの施された役者に猛獣が襲い掛かるなんてシーンがバンバン出てくるのである。特に中盤の牛人間と虎とのガチンコバトルはなかなかの迫力で、当時量産された動物パニック映画群の中でも平均より頭一つ抜けた存在だった。
TOP PAGEへ