エイリアンビギンズ                「評価 C」
砂漠の町サレーナに宇宙船らしき物体が墜落したとの連絡を受け、ブラッドリー中尉ら一小隊は調査のために現場へと急行した。始めは隕石か何かだろうと考えていた部隊の面々だが、そこには人間を襲う凶悪なエイリアンたちの姿があった。一方その頃、すぐ近くの道路では、護送中の凶悪犯四人が仲間の手引きによって脱走を図っていた。彼らは刑務所の人間を人質にとってサレーナに到着するが、エイリアンに襲われ人気の無くなった町の姿を前に茫然とする。やがてエイリアンの魔の手は彼らにも襲い掛かり、凶悪犯らはブラッドリー中尉と共に決死の戦いを強いられることとなった…。
エイリアンと人間が戦う──という使い古されたプロットの作品だが、この映画の見所はエイリアンとの戦闘よりも、人間同士の掛け合いにある。監督・脚本のダスティン・リカートが元々心理描写の技術を要するサイコホラー畑の人間ということもあってか、各登場人物(特に凶悪犯四人)のキャラが見事に立っており、また彼らのコミュニケーションには心地よいまでに澱みが感じられない。そのためエイリアンと凶悪犯らがなかなか遭遇しなくてもさして退屈を感じることはなく、むしろ会話の妙によって画面に釘付けにさせられるのだ。
ただ、やはり派手なアクションシーンは不得手のようで、エイリアンが襲い掛かってきてからの後半部分は何が起こっているのか分からなくなるような場面が度々出てくる。エイリアンの正体に皮肉たっぷりのオチを用意していたのは笑えたものの、それでも前半との落差は激しく、結局大して盛り上がることもないまま映画は終わってしまう。会話が非常に面白かった分、戦闘シーンの不出来が惜しまれた作品だ。
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