ターミネーターX                「評価 D」
ポルノ写真家のトニーは、ある日TERROR VISION.comというサイトを発見した。だがサイトにアクセスした途端、ディスプレイには無数の画像が現れた。そして彼女の身体は電気信号に変えられ、パソコンの中に吸い込まれていった。翌日、友人のデズは彼女の部屋に行き、置いてあったディスクからTERROR VISION.comに辿り着いた。同じようにディスプレイに浮かぶ無数の画像。だが異変に気づいた同居人が代わりに吸い込まれていったことで、辛うじてデズは現実世界に留まることができた。何が起こったのかさっぱり理解できないデズだったが、やがて知り合った謎の人物・ブラッドベリーからこのサイトの正体を教えられる。TERROR VISION.comは現実社会から撥ね退けられたマニフェストという人物によって立ち上げられた、世界を滅ぼすサイトだったのである…。
平凡な青年が世界を救う運命に立たされるサイバーSF映画……と思いきや、いつまで経ってもストーリーは一向に進行せず、挙句に「俺たちの戦いはこれからだ!」というところで終わってしまうとんでもない作品だった。しかしこんな終わり方をするくせに、ノリノリの音楽をバックに荒野で車を走らせるシーンが何分も続いたり、途中で回想シーンが挿入されたりと、贅沢な時間の使い方が目立つのは一体どういうことだろうか。これが本作の打ち切り漫画臭さを際立たせ、おかげでスタッフロールが流れたときの喪失感は尋常なものではなくなっていた。製作者たちには、構成について深く考えてもらいたいところである(もしかしてこの映画、続編があるのだろうか?)。
また本作、主人公のデズが周りで起こる奇怪な現象に翻弄されるばかりで、何一つ自主的な行動に出ない。そのため彼がTERROR VISION.comの脅威になり得る存在だと言われても説得力が感じられず、ラストで戦うことを決意する彼の姿を見ても、今後の戦いで勝ち残っていけるのかという不安ばかりが頭に付きまとってしまう。せめて天才ハッカーの鱗片を見せるとか、そういった裏づけの描写が欲しいように感じられた。
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