マシーンヘッド 「評価 D」
高校生のマックスはその根暗な性格から、周囲に「変人」と呼ばれ蔑まれる日々を過ごしていた。そんな日常は彼の心を次第に歪ませていき、何時の日かマックスは彼らを見返してやろうという一心で、禁断の領域・死者再生の研究に着手していたのである。試行錯誤の末、脳神経と小型エンジンとを繋ぐことでシナプスの再生ができることを発見した彼は、早速身元不明の死体を使ってこの原理を実践。側頭部にエンジンの付いた生ける屍・マシーンヘッドを完成させた。だが死者再生の研究が賞賛を浴びるはずがなく、それどころか力の制御ができないマシーンヘッドによって、マックスの周りの人物は次々と惨殺されていった…。
21世紀のフランケンシュタイン博士ことマックスの歪んだ狂気が炸裂する、アルバトロス・コア発のSFホラー映画。前半で一人ずつ殺されていき後半は町中を巻き込んで大パニック──というセオリー通りの流れでありながら、低予算と演出力の弱さが祟って終始微妙な雰囲気が漂い、到底良作とは呼べない映画である。
この映画の見所を挙げるとしたら、マシーンヘッドの悲しいまでの忠誠心だろう。マックスに復讐の道具として無理矢理あの世から引き戻され、自身の醜い姿を鏡で見て悲鳴を上げたにもかかわらず、半ば自分の意思で彼の命令に従い、動作停止の間際にはマックスに感謝の言葉まで投げかけるのである。いくらマックスの孤独な境遇を知ったからとは言え、普通バリバリの改造人間にされていたら恨み言の一つや二つ言いたくなるもの。それすらも言わず、ただ寡黙に従い続けるマシーンヘッドの姿にはもののふの心を感じずにはいられない。近頃珍しい、天晴れなまでに主人に従順なモンスターだった(その分、人を食ったようなラストには憤怒したが)。
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