地球の危機               「評価 A」
地球を取り巻くバンアレン帯が流星の影響で異常な熱を帯び、地球全土の気温が急激な上昇を開始した。北極と南極の氷は解け、世界各地の主要都市はだんだんと機能を失っていく。そこで天才とも奇人とも言われる科学者・ネルソン提督は地球を救うため、完成したばかりの原子力潜水艦シービュー号に乗り、マリアナ海溝から核ミサイルを発射してバンアレン帯を吹き飛ばすという計画を立ち上げた。しかし外部はおろか艦内にも彼の計画に反対する者は多く、シービュー号の旅は非常に険しいものとなった…。
「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」から「世界崩壊の序曲」まで、パニックものを数多く製作したことで知られるアーウィン・アレンのSF映画。後にTVドラマ「原潜シービュー号」でも活躍するシービュー号は、シャープな形状と前方一面に付いたガラス窓が特徴的なデザイン。これによって巨大なガラス窓越しに機雷源や大タコが見えるという、今までの潜水艦モノでは成し得なかったスリリングなシチュエーションを生み出していた。またシービュー号が北極海に浮上するシーンでの重厚な演出、本物のタコを使いながらも潜水艦とタコ以外に何も写していないので水槽らしさを感じさせない大タコとの戦いなど、各所で冴え渡る特撮も見逃せない。
ストーリーの方は、ネルソン提督の考えが正しいのか否かを終盤まで判明させず、艦内で巻き起こる騒動への求心性を高めたはいいものの、いざクライマックスになると実に呆気ない決着の付け方で腰が砕けた。他にも「クルーが何人かいなくなったから操舵に支障が出る」という話が出たにも関わらず、特に困った様子もなく無事目的地に辿り着いたりと、かなり大雑把な脚本が足枷となっている作品だ(それでも艦内のサスペンス描写は見事だったので、個人的には満足だったが)。
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