モンスター再生 「評価 B」
ロイド・リーヴスという俳優がいた。50年代に同じ町を舞台にした六本ものモンスター映画に出演し、今では町を有名にした功績を称えられてその町のヒーローとなっている人間だ。ところが三年前、彼は突然精神病院に入れられてしまった。なんでも映画と現実の区別が付かなくなり、「町にモンスターが出るぞ」と真剣に説いたかららしい。孫のトラビスに迎えられて何とか退院するロイドだったが、それでも孫にモンスターが出てくると真顔で言い出す始末。トラビスは手に負えない祖父に困り果てるものの、やがて彼の言っていることが紛れもない事実だと判明する。何故ならこの世界は映画の中なのだから…。
「マチネー 土曜の午後はキッスで始まる」のような50〜60年代のモンスター映画に対する愛情と、「13日は金曜日PART25 ジャクソン倫敦へ」のようなメタフィクションの構造とがミックスされたようなホラー・コメディ映画。メタであることを最大限に生かしたネタがてんこ盛りで、町に着いたばかりのトラビスが地元の不良に絡まれるというお決まりの展開が出てくるのを始め、モンスターの行動パターンを探るために昔の映画を観まくったり、「まだモンスターは死んでいない。なぜなら騒ぎの後の警官隊が来ていないからだ」なんて台詞が出てきたりと、B級映画好きならばツボに嵌ること請け合いの映画だ。
ただ、主演のモンスターさんは「禁断の惑星 エグザビア」に出てきたメタモーフに目玉と触手を付けたような姿をしており、明らかに「エイリアン」以後の路線に沿ったデザインで、あまり60年代らしさを感じない。一応劇中で「モンスターは時の流れと共に変化成長していく」と説明付けはされているものの、折角50〜60年代のモンスター映画をリスペクトしているのだから、もっと古めかしいデザインにして欲しかったと思うのは私だけだろうか。
GO TO TOP!!