魔の谷                 「評価 C」
サウスダコタのスキー場で働く山男・ギルは、花火会社の社長とその部下から宿泊用のロッジまでの道案内を頼まれた。社長秘書のジプシーと仲良くなりながらロッジへの道を先導するギルだったが、実はこの社長たち、会社を経営する傍ら強盗もしているとんだ悪党集団だった。つい先ほど金塊を強奪してきた彼らは捜査の網が緩むまでの間、ロッジを隠れ蓑にしようとしていたのである。しかしその時、怪しげな蜘蛛怪人がロッジに向かう一行の姿を密かに窺っていた…。
H.G.ウェルズの掌編「蜘蛛の谷」を、ロジャー・コーマンの弟であるジーン・コーマンが映像化した作品。映画に登場する怪物は原作のイメージとは似ても似つかない着ぐるみ怪人で、蜘蛛の顔に白く長い体毛が被さっている容貌は仮面ライダーのクモライオンを彷彿とさせる。この外見は陰惨な雰囲気が滲み出ていて悪くないが、いざ人間を襲う場面になると長い腕を動かしてフラフラしているだけで、観ていて頼りないことこの上ない。ストーリーの方は原作を大幅にアレンジしながらも勧善懲悪ものとして上手く纏まっていただけに、怪物の弱々しさだけは何とかして欲しかったところだ。
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