ジャイアント・スパイダー大襲来 「評価 B」
ウィスコンシン州の小さな牧場に落下した小惑星。強い放射線と共に人知れず質量を増していったそれは、やがて平行宇宙への出入り口・ブラックホールへと変貌を遂げた。すると、どうしたことだろう。別の宇宙に暮らす凶悪残忍な蜘蛛たちが、ブラックホールを通って地球にやってきたではないか。全長50フィートの巨大蜘蛛を筆頭とする蜘蛛軍団は、牧場主のケスター夫妻を始め、近隣の住民を次々と血祭りにあげていった。一方でブラックホールの存在に気づいたNASAの科学者らは、何とかして蜘蛛軍団の始末を行おうとするが…。
全編に渡ってインチキ臭さが漂っている作品。この映画を一言で表すとしたら、これしかあるまい。ブラックホールの誕生方法からその形状、そして処理方法に至るまで、考証なんかこれっぽっちもしていないくせに、それっぽい科学用語を羅列することで強引に観客を納得させようとしている設定。カメラの焦点が合っておらず、登場人物が何に驚いて何に発砲しているのか分かり辛いシーンがざらにある映像。主要人物だったはずの人間が急に出てこなくなっても平気で進行し、そして唐突にラストシーンが訪れる脚本。実物大のモデルを作ったはいいものの、滑車に乗せて移動させているので文字通り地面から浮き足立ってしまっている迫力0の巨大蜘蛛。どれもこれもインチキ臭さ満点で、しかも製作側はわざとそういう風に作ったわけじゃないから大したものだ。あんまりな出来にかえって愛おしさが込み上げてくる、世界の蜘蛛映画史に燦然と名を残す大欠作である。
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