宇宙からの侵略者 「評価 D」
青年ダニエルの家に置いてある、五角形の古びた箱。「十八歳の誕生日になったら中身を見せてやる」と両親から言わされてきたが、気になったダニエルは友人たちと一緒に、誕生日を待たずして箱を開けてしまった。中に入っていたのは謎の言語で記された書物と、何かが固まってできた小さな物体。これらの物が何を意味するのかさっぱり見当のつかないダニエルたちだったが、その時を境に彼らの平和な日常は終わりを遂げた。宇宙からやってきた寄生生物の影が、彼らの周りに見え隠れするようになったのだ…。
「いつも顔を合わせる人が実は宇宙生物に操られていた」という内容の、冷戦時のSF映画を彷彿とさせるテレフィーチャー。ミステリアスな雰囲気を漂わせている演出は素晴らしいものの、構成が配慮に欠けているためにストーリーへの興味が薄らぐという、サスペンス映画としては致命的なミスを犯している作品だった。
例えば前半部分、箱の中身や近隣の住民の不可解な言動などといった数々の伏線をダニエルに示すのだが、その一方でかなり早い時期に宇宙生物に乗っ取られ奇形化した人間が殺人を犯すシーンが挿入されており、観客に「犯人はこんな宇宙生物ですよ」ということが明かされている。そのためダニエルたちが必死に謎解きをしていても、観ている側としてはいまいちのめり込むことができないのだ。
更にクライマックスになると、それまでの積み重ねを一切無視した衝撃の事実が続々と出てきて観客を戸惑わせる始末。何の解決もされていないラストも煮えきらない印象で、人に観てもらうことを考えていないような強引なストーリーが神経に障る映画だ。
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