人喰族                      「評価 C」
人食い人種は存在するか否か。これを卒論のテーマに選んだ学生グロリアは、弟ルディ、友人パットを連れて、人食い族が住むと言われているアマゾンのマニオカ川流域へと向かった。三人はジャングルの中をさまよい歩き、タフな二人組・マイクとジョセフに出会う。話によると彼らは宝石を採りにアマゾンへと来たものの、すぐそこの村で原住民に捕まり、仲間を食い殺されてしまったらしい。その話を聞いたルディたちは原住民の村に赴き、人気の無い広場で縛られた死体を見つけた。これを目の前にし、人食い族が実在することを確信する三人。ところが実は、この死体を作り出したのは他でもないマイク本人だった。現地の人食い族と協力して宝石採掘を行っていた彼は、作業がはかどらないことを理由に原住民を残酷な方法で殺害したのである。やがて怒りに燃えた人食い族らは外部の人間に対して反撃を開始し、マイクのみならず、罪の無いルディたちまで次々と処刑していった…。
「あなたは二度と食事ができなくなる」という宣伝コピーが強烈な、マカロニ食人族映画の一本。数ある食人族映画の中でもトップクラスの残虐度で、有名な両乳房吊るし上げを始め、目玉抉り出し、内臓ほじくりといった人体破壊シーンがバンバン出てくる。これらの間に小猿や亀を実際に殺している場面が織り交ぜられ、血みどろの作品に悪趣味な花を添える(特に原住民が芋虫をクチャクチャ食べるシーンは逸品)。また「食人族」同様、原住民を虐げるマイクというキャラが登場するが、彼は性器と腕を切り落とされた上に頭を切断されて脳味噌を食われる──という、これ以上ないくらいに残虐な裁かれ方をするので、自業自得に留まらないカタルシスを得ることができる。
しかし本作、ストーリーが都会パートとジャングルパートに分かれており、映画の中ではマイクを追う刑事の様子とジャングルをさまようグロリアの様子とが同時に進行される。この形式自体は構わないのだが、都会パートになるといちいち明るい音楽が流れ、ジャングルパートの緊張感を一瞬で吹き飛ばしてしまうのはどうにかならないのか。イタリア映画らしい大味な演出が足を引っ張っているように思われてならない作品だ。
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