キラー・モスキート 吸血蚊人間        「評価 D」
蔓延する伝染病を撲滅するため、ジェニファー博士は放射線装置を使って新種の蚊の開発を行っていた。だが作業の途中、人体実験用に連れてこられた囚人レイ・エリクソンが研究所内で暴れ回り、放射線装置が爆発を起こしてしまう。レイはそのドサクサに紛れて逃亡し、刑事のトムが彼の後を追う。しかし爆発の際に放射線を浴びたジェニファーとレイの体は、徐々に醜悪な蚊人間へと変わっていったのである…。
放射能による突然変異で誕生した怪物が、馬鹿なティーンエイジャーたちを次々と殺していく──という、60年代の香りがプンプンするSFモンスター映画。蚊人間は鋭い鎌が付いている左腕と、膨らんだ背嚢や細い足などのリアリティに徹した箇所とが絶妙なバランスを保っている造形が見事。また蚊人間への変貌や、太い口による吸血、鎌での頭部切断など、エグい場面もなかなかの充実具合だ。
しかしこの映画、脚本があまりにも杜撰である。例えばレイたちが蚊人間に変身する理由。いくら蚊の品種改良をしていたとはいえ、放射線は放射線。浴びただけで蚊の遺伝子が混ざるなんて、蚊の睫に巣を食うようなものだ。せめてもっと蚊の涙ほどの説得力のある説明が考えられなかったものだろうか。他にもそれまでずっと蚊帳の外に置いておきながらクライマックスで急に持ち出される伝染病の解決話や、いまいち釈然としない蚊人間の行動原理など、蚊の食う程にも思わずとはいかない難点が多く、蚊人間の暴れぶりを純粋に楽しめないのが辛い作品だった。
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